赤の魂(携帯版)

復興祈念

2012年03月10日

死者1万5854人、行方不明者3155人、親を失った子供たちおよそ1600人、そして避難を続けている人々34万人。見えない数字の向こうに被害がその何倍、何十倍と広がる東日本大震災。3・11を翌日に控えその復興を支援する日本と台湾のナイトゲームが東京ドームであった。

2対1で迎えた三回、打席には栗原。真っすぐを見事に仕留めて左中間スタンドに叩き込んだ。

「感触は完璧でした。東北出身なのでいいプレーを見せたかったしこの日を家族、知人らも楽しみにしていた。シーズンに入ってからも野球を通じて何かを感じてもらえるようプレーしたいと思います」

試合は9対2で日本が勝利して、常設化された「侍ジャパン」が初陣を飾った。「特別な1年」に続く年の開幕を見据え、プロ野球労組選手会長の新井は試合前に宣言した。

昨年の大震災以来、大変なご苦労をされている被災者の皆様に対し、改めてお見舞い申し上げます。加えて日本を元気にするために、今日この試合に臨んでいただいたCPBLの皆様に対し、日本チームを代表して感謝を申し上げます。

私たちプロ野球選手は、全力でプレーすることが誰かを力づけ、誰かを勇気づけると信じ、昨シーズン戦って参りました。その気持ちは今年も変わりません。その思いを胸に今日、この大変な試合を全力で戦いたいと思います。どうぞご声援よろしくお願いします。

午前中、マツダスタジアム正面ゲート付近ではたる募金に寄付をするファンの姿があった。ニック、バリントン、サファテらカープナインとヤクルトナインが肩を並べて協力を呼びかけた。

選手会長の東出は言った。

「去年だけじゃない。球団と協力してこれからもやっていかないといけない。シーズン中も選手会単位で寄付をしたりできることをやるつもり。すぐには復興しませんから。少しでもできることをやっていきたいですね」

それからしばらくして鈴木球団本部長が記者に囲まれた。嶋と西武・江草の交換トレードが発表され「先方からこの話を言ってきた。青木高が故障してこちらとしても左を探していたし、嶋もパ・リーグなら出番が増えるでしょう」と説明した。

東北高校出身。本格左腕として入団して10年目の2004年に「赤ゴジラ」の名で首位打者に上り詰めた。カープひと筋のベテランは、かつて新井や栗原とクリーンアップも組んでいた。

そして3・11当日、第2の故郷・仙台のヘリコプターからの映像を、胸を抉られるな思いで見入っていた。その嶋が「赤」から「青」にユニホームを替えて、日本復興へ向け別の道を歩む。

「話を聞いた時はさすがに言葉になりませんでした」という18年目のベテランは試合前に選手ロッカーを訪ねチームメートに挨拶した。

「突然だったから驚いた」という松山は、海外自主トレも含めて嶋に「野球の技術のこと、それ以外のこと」でもたくさん話をしてもらってきた。

この日のヤクルト戦では栗原に代わってファーストを守り、同点犠飛、左前打、中前打と内容の濃い打席を重ねた。

「いいライバル、いい先輩としてずっとやっていけたらいい。自主トレもまた来年、一緒に行けたらいいと思います」

軸足にしっかり体重を乗せ、「静」から「動」へ下半身の力でバットにそのパワーを伝える「赤ゴジラ」の打法を引き継いでいくことが「先輩」への恩返しになる。現時点では栗原とのクリーンアップでチームの打点部門を背負うのは確実な状況だ。

そしてダルビッシュのあとを受け「日本のエース」を目指すマエケンもオープン戦2度目のマウンドへ上がった。最高球速147キロのストレートが思うに任せず4回1失点。4三振2四球という内容は昨年のマエケンの悪い時によく見られた「数字」ではあったが「この時期にしては真っ直ぐの感覚はいい。もうちょっとコントロールを良くしたい」とコメントした。

マツダスタジアム周辺の木々が新しい芽を伸ばし始めた。緑に囲まれた広島ビッグアーチには3万サポーターが押し寄せ20年目のJリーグがスタートした。

ピッチでは新生森保サンフレと柏木、槙野を擁するペトロヴィッチレッズが激突して試合後には森保新監督がスタンドに向かって「勝利」宣言した。1対0。「戦う姿勢で向こうの方が勝っていた」と槙野が上を向いたのが印象的だった。

広島はスポーツを通じてたくさんのことを学んできた街だ。一方でスポーツを通じて様々な経験をしてきたアスリートたちが集う街でもある。

昨年12月、野村祐輔は土、日を使って被災地を訪れ中学生と野球の指導を通じて触れ合った。あの時のことが忘れられない。大きな船が陸に乗り上げ「壊滅した街」を見ながら高台の学校を目指した。

「お邪魔したのは陸前高田市と大船渡市です。ありがたいことだと思います。好きでも野球ができない人もいるし、家族が亡くなった方も大勢いらっしゃるのですから」

2012年シーズンがもうすぐ始まる。野球という枠を超えた「特別な1年」がまた始まる。

★前日の社会人戦に続いてヤクルト増渕のスライダーをレフトスタンドに運んだニック 「強い逆風だったが第1打席で初球を打ち上げた(左飛)のはミスショット。3打席目は前でとらえることができ、いいスイングだった」

★試合後の野村監督 ニックについて。「ランナーを置いての逆転打。(ツーラン)ムードを変える頼もしい一発になった。その前に三振したけど変化球を当てにいくのはやめてくれよ、と伝えておいた。

マエケンについて。「うーん、どうなんですかね。いろいろなボールを投げて試していた。ただ、失点の場面は四球、送りバントからで相手に2度チャンスがあるから、ランナーを出さなきゃゼロ!ただエイコラサーで投げるんじゃなくて、みんな(実戦の)感覚をつかんで欲しい」

嶋のトレードについて。「カープでずっとやって首位打者も取った。本人はケガもあって本来の姿ではなかったけどまだ打つ方ではパワーがあるし、パに行って出場機会が増えると思う。僕も一緒にプレーしたし寂しい気持ちはするが、また交流戦で会うしお互い頑張っていきたい。(江草の起用法は)また本人と話し合って考えたい」

 



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「第4回コイのサミット」開催のお知らせ

2014年3月22日(土)に「第5回コイのサミット広島」を開催いたします。

「早く日取りを決めて欲しい!」という熱い声にお応えして、日時と場所だけ確定いたします。パネリストの方の人選など不確定な部分もございますがご了承ください。
みなさん最大の楽しみ!二次会の予約も済ませました。場所はもちろんHarayaさんです。今回もまたファン同士の結束を高め(要するに飲み会…)、1991年以来のリーグ優勝を目指すべく熱いシーズン開幕を迎えましょう!

なお初めての方も大歓迎です。私、田辺一球が楽しく!?お相手いたします。もちろんお一人様も大歓迎いたします。

翌3月23日(日)にはマツダスタジアムで午後2時からソフトバンクとのオープン戦が開催されます。しかも3連休の真っ只中です。楽しい「広島ツアー」にしていただければ幸いです。(宿泊施設のご用意はいたしませんので各自でお願いいたします)

★日時)2014年3月22日(土)午後2時「本会議」スタート予定(午後1時30分受付開始予定)※開始時間は、若干変更になる可能性もあります。詳細は、お申込みいただいた方にメールなどで通知いたします。

★会場) ウエストプラザビル2階ホール(広島市中区紙屋町2-2-2、TEL 082-504-3131)

★アクセス) 広島ど真ん中、紙屋町交差点からすぐ。高速バスなら広島バスセンター下車、広島電鉄なら紙屋町電停下車で徒歩数分、JR広島駅からタクシー15分以内。山陽自動車道広島ICより約6キロ。駐車場は用意されておりませんので近隣でお探しください。

★会費) おひとり様3,500円(税込、ドリンク&食事付き)中学生以下は無料。会費は当日、サミット開催前に受付で集めさせていただきます。おつりのないよう、ご用意ください。

★募集定員) 40名ぐらい…

★パネリスト)田辺一球(広島魂!代表)以外は未定

★サミット参加のお募集申込み方法
「本会議」とそのあとの「二次会」の2部構成です。「一球調査団」は、今回は実施しない方向です。「本会議」会場から「二次会」会場まではたぶん、徒歩でも行くことができます。路面電車利用の場合は実費のご負担となります。

参加希望の方は、メールで以下の項目を明記の上、お申し込みください。なお、会費を当日いただくこともあり、キャンセルは極力避けていただきますようお願いいたします。

・お名前 
・住所(郵便番号)
・年齢
・2人以上でご参加の場合は残る参加者全員のお名前と年齢
・あなた様、もしくは代表者連絡先電話番号(メールがお返しできない場合がございます。その際にお電話します)
・「二次会」参加の有無(お申込みのあと二次会のキャンセルは極力、避けていただきたいと思います)
・サミット参加回数(今回含む)
・その他、ご要望、ご質問など

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覚醒スイング

2013年04月07日更新

お立ち台に上がったふたりのヒーローが、冷たい風の吹きつけたデーゲームのスタンドを熱くした。

「常にみんな声が出ていて、点が入りやすいムードができていたと思うし、みなさんの応援もすごく僕らにとって大きな存在なので、本当にありがとうございました」

4打数で2得点3安打1打点と1四球の活躍を見せた丸がファンにメッセージを送ったあと、マイクを向けられたマエケンが言った。

「チームの状況は苦しいですけど、ファンの皆さんはちょっと暗いです。明るく笑って球場に来てください!」

開幕第2戦で8回1失点の投球を見せながら“不発”に終わったマエケンは、東京ドームでも投げていた130キロ台中盤の高速スライダーを組み立ての中心に据えた。WBCを経験したことで「帰国してから腕が振れるし意外にスピードが出ている」真っ直ぐに変化を感じ取り、スライダーも同じ勢いで振り抜くことができた。

「一番の西岡さんはもちろん、どの打順も怖い」という阪神打線を相手に終わってみれば7回2安打1四球の無失点とほぼ完璧に抑え込んだ。真っ直ぐと高速スライダー、それにチェンジアップを低目に集め、外野に飛ばされたのは西岡の中前田、福留の左飛、コンラッドの中飛の3度だけだった。

6対1快勝の原動力がマエケンの投球内容にあったのは間違いない。だが、打線の援護がなければエースと言えども勝ちようがない。

「二番の丸がいっぱい出ていっぱい帰ってきてくれました!」。ヒーローインタビューの初っ端にマエケンはそう叫んだ。試合の流れを作ったのは8試合消化時点で早くも3度目の猛打賞獲得し、一、二回と立て続けにナイス走塁でホームに還ってきた丸だった。

打つだけではない。走っても守っても球界トップレベルの水準を目指す。丸の“イチロー化計画”は新井打撃コーチの就任と同時にスタートした。

「バッティングは力じゃない、スイングスピードとレベルスイング、そしてボールを見送る姿勢の中にいかに打ちにいく形を作るか、だ」。新井理論をナインに浸透させる作業は前年秋の日南キャンプでその第一歩を踏み出した。

新井コーチが真っ先にやったこと。それはひとりひとりのバットの形状、グリップの形、バランス、重さのチェックだった。

丸のバットはそれまで使用していたものより30グラム前後軽量化され、“スイングスピードの高速化”を可能にした。同時にこれまでダウンスイングをイメージして、構えた時に両肩のラインより高い位置に固定していたグリップを、同ラインのかなり下まで降ろした。

「打撃改造」には勇気がいる。だが丸には迷っている時間はなかった。2011年に初めて規定打席に到達して105安打を放ったのに2012年は70安打を放つのが精一杯だった。目の前に大きな壁があることは分かっていた。2000本安打の新井理論を吸収することで覚醒する自分に賭けた。

2月、再び日南に入るやいなや反復練習が始まった。「レベルスイング」への移行は簡単ではなかった。「まだまだ、自分のものにするには相当かかると思います」。キャンプ序盤は試行錯誤の連続だった。

それでもシート打撃や紅白戦が始まると、丸のバットから快音が響くようになった。グリップの位置が下がったことでスイングが以前と比べてずいぶんシンプルになった。肩の余分な力も抜けたように見えた。

オープン戦の時期になっても極端にバッティングの状態が悪くなるようなことはなくなった。「外の球をとらえることができている。精度をもっと高めたい。手ごたえは感じています」。テーマのひとつだった「確実性」が増してきた。

試合前、新井打撃コーチが上げるトスを打つ、というルーティンはマツダスタジアムでも遠征中でも3月いっぱい続けられた。最初は外角の球を強くショート頭上へ強く打ち返せるように丸から見て左45度の角度から、続いて新井コーチが丸の正面に入り、ネットの影から上げるトスをフルスイングした。

新井コーチには、かつてイチローの打撃スタイルの基本を、このトスバッティングで固めた実績と経験、もっと言えば信念がある。同じ道を歩むことで丸のバットの軌道はそれまでとはまったく違ったものになり始めた。地面と平行にバットのヘッドを移動させ、最後の大きなフォロースルーと同時に風を斬る音が聞えてきた。

オープン戦の時期にはもうひとつのテーマにも挑戦した。オープンスタンスから右足を上げて踏み込もうとすると、相手投手が「クイック」で崩しにかかってくるようになったからだ。

自分のタイミングで打とうとすれば上げた足を降ろした時には完全に差し込まれてしまう。そこで上げた右足を途中で早めに一度、地面と接触させ軽くステップして本来の踏み出し位置に右足を着地させる「二段ステップ」に打撃フォームをアレンジした。

守ること、走ることにおいてもキャンプからワンランク、ツーランク上を目指して丸はやってきた。打つだけではレギュラーにはなれない。同時並行であらゆる課題に取り組みながら丸は2013年シーズンを迎えることになった。

日南キャンプ終盤、丸や安部の屋内打撃練習を見守りながら新井コーチが話し始めた。

「よく少年野球の本などに体重を残して振りにいき、そこからもう一度体重移動などと書いてあるがそれは間違い。それではスウェーしてしまう。ステップして着地した時にピッチャーに向かっていく形ができていれば体重移動していてもOK、言い換えれば下半身は打ちにいく、しかし上半身は残すんです。そしてみんな試合で10の力で振ろうとするけど練習10なら試合は8ぐらいでいいんですよ」

新井理論の引き出しはおそらく無数にあるはずだ。打球音とマシンの油切れの音が一定のリズムで繰り返される現場で話はなおも続けられた。

「ヘッドがうまく使えないとバットが折れたりもするんですよ。そのためにはまずバットの握りから変えなくてはいけない選手もたくさんいる。そうやってヒットを重ねていく。うまくいけば280には届く。その先、いかにして300をクリアするのか?そこにはラッキーなヒットや内野安打も当然、必要になってくるんです」

話の最後に新井コーチ自らが口にした「打率3割」の目標に到達できる愛弟子は果たして…?かつて神戸の空の下、「前人未踏のシーズン200安打」を可能にした新井理論とイチローの振り子打法が紡いだ物語。その続編がこの広島でまさに今、始まろうとしている。

カープと広島を愛する人たちに贈る携帯サイトの決定版。テレビやラジオより速く、新聞より詳しく、雑誌より感動できるカープナインの365話物語。田辺一球責任編集。すでに7年以上、一日も休むことなく続くカープコラム「赤の魂」やカープ情報や新球場問題などを速報する「ニュース速報」他サイトと比較して一目瞭然の「試合速報」現場で集めた「ファーム情報」携帯サイト読者とメールのやりとりする中から新たなコミュニティーを創造する「コイの季節をあなたにも...」。5つのコンテンツで税込み178円です。なお、携帯サイトと当HPをリンクさせ、全国から集まったみなさんの声をカープと新球場の未来のために同携帯サイト上や当HP上、あるいはスポーツコミュニケーションズ・ウエストが発行する書籍内において掲載させていただくことがありますのであらかじめご了解ください。

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