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空に向かって打て!選手会長編

2012年12月02日

3・11から1年と9カ月が過ぎようとしている。被災地では復旧、復興に向け、現実にそこに住む人々のニーズと、国や自治体などからの支援のあり方との“かい離”がますます進んでいる。ハード面で被災地が3・11以前に戻ることはもうできない。

福島第1原発の複合型メルトダウン(最悪の事態)による“影響区域”に居を構える人々はなおさらだ。放射性物質の測定値の高い低いは関係ない。高ければほんの数日で、低ければ低いなりに数年、数十年のスパンで体を病に弱い状況に変えられてしまう。それでも居住者は最後まで故郷愛を捨てることはない。当然だろう。

そんな人々を少しでも励まそうと日本プロ野球選手会の新井貴浩会長が中心になって仙台で復興支援イベントを開催した。ハードはダメでもソフトの方での復興は先行できるに違いない。

「ベースボールクリスマス2012in宮城」。2007年から始まった選手会イベントは初めて12球団本拠地のKスタ宮城で行われ26選手がおよそ7000人のファンとキャッチボールやトークショーで交流した。カープからは栗原と木村が参加した。

新井会長は「僕たちは野球を通して触れ合うことしかできない。一緒に頑張っていけたらいい」とメッセージを送った。

新井会長と経営者側の3・11以降の“バトル”は、グラウンド外での出来事としては2004年の球界再編問題と並ぶ「平成の2大事件」として球史に刻まれることになる。

Jリーグを始め大多数のスポーツ日程や国内イベントが延期、開幕日変更などを決める中、プロ野球だけが従来日程に固執して選手会と真っ向からぶつかった。

その“首謀者”は巨人軍。世論をバックに開幕延期に向け勢いを増す選手会側に対して姑息な手段で対抗する巨人と読売グループ側…。そのせめぎ合いはついには国をも巻き込んで、最終的にはパ・リーグ側が決定事項としていた4・12開幕で決着を見た。

巨人が譲ろうとしなかった開幕日は3・25。未曾有の被害に苦しむ人々に目を瞑り、そのわずか2週間後に「プロ野球開幕」を実行しようとした面々は、今、いったい何を思っているだろう?

どんな手を使っても自分たちの主張を押し通す巨人と読売グループがこの時、なぜその矛先を収めたのか?それは選手会側の本気度に触発された世論が“読売不買運動”などの大きなうねりになり始めていたからにほかならない。

一方、選手会側もセ・パ両リーグ一致でスト権行使の“宝刀”を懐に最後まで戦い抜く決意だった。当時の新井会長の怒りを3・21、マツダスタジアムで開催された阪神とのオープン戦の時に直接、聞くこともできた。

新井選手会長は12月6日にある選手会総会で退任する意向を固めている。3・11以後の壮烈な戦いの中ですでに「自分の次はぜひ、まだやっていないパ・リーグの人にやってもらいたい」と選手会長交代を示唆していた。

新井会長の選手会はWBC参加問題でもNPBとやり合った。だがNPBとは名ばかりでそのバックにはやはり巨人と読売グループがいる。NPBは操り人形に過ぎない。
新井選手会長は、まったく次元の異なるグラウンドの内と外で、巨人と戦ってきたことになる。その心意気や良し!である。

「赤の魂アーカイブス」

・2011年3月12日、未曾有災害の日に

マツダスタジアム、午前10時。すでにチケット売り場や球場入口には「オープン戦土、日曜中止」「払い戻し」の張り紙が貼られ、ファンの姿もまばら。球場はクローズドとなり、グラウンドではカープ、ソフトバンクの選手が練習を始めていた。

2004年、労使交渉決裂により「シーズン最中のプロ野球のない週末」が現実のものとなった。しかし、今回は未曽有の大災害によるオープン戦一斉中止の臨時措置。国内各種スポーツ競技で開催中止が相次ぎ、Jリーグの土、日開催分中止も早い時期から決まった。

午後からは両チームの合同練習も行われ、齊藤がソフトバンク打線を相手に5イニング分、計77球を投げた。

内訳は打者19人に対し4安打1四球4三振。ソフトバンク主力組のバットが何度も空を切り、真っすぐ、変化球のキレの良さ、制球の良さが光った。

セカンドに入った松本高のエラーをきっかけに2点を失ったものの、内野ゴロが7つあり安定感、という意味では十分、合格点。「キャンプからずっと下半身を意識してやってきた」ことが長らく好調をキープしている要因で、開幕ローテーション入りは確実になった。
なお、梵、栗原はこの実戦形式の練習には参加しなかった。

明日も同様の練習が予定されている。

・3月15日、悲しい結論

野球どころではない。そうなることは、あの瞬間から予想できた。

「広い範囲で地震、お台場炎上か?」(11日3時5分)「緊急速報、原子力発電所(場所不明)で放射能漏れの可能性。原子炉を冷やす、予備のディーゼルも停止」(11日18時22分)当チャンネルでは、リアルタイムで速報し、その記録がすべて残されている。11日18時22分の時点で予想された、最悪の事態になった。

万単位で国民の命が危険にさらされ様々なトラブルを繰り返す福島第一、第二原発の暴走は止まらず、ついに人体に多大な影響を及ぼす超高濃度の放射能が至るところで観測され始めた。事実、千葉QCBマリンで開催予定だった日本ハムとロッテの合同練習は中止になった。

すでに壊滅状態の被災地区とその周辺にとって、あまりにも大きな打撃…。しばらくはネット上などでもプロ野球開催の是非などが討議されてきたが、もうしばらくはそれどころではない。

「津波のあと不明の家族の捜索もできず、避難場所暮らし。今度は放射能汚染で捜索もできない…。県も国も我々を見放しているのか、とさえ思う」(被災地自治体の首長)

3月11日に日本の国土と国民が甚大な被害を受け“始め”(現在も継続)ているのに3月25日にプロ野球開幕、ではプロ野球の理念にも合致しないのではないか。

セ・パ両リーグの臨時理事会、並びに12球団実行委員会が都内で開催された。そして両リーグ、理事会では結論が分かれた。パ・リーグは「開幕延長」。セ・リーグは「予定通り開幕」。「一枚岩」での前進を日頃口にするNPBにあってはならない真逆の「結論」に至った。

しかし、震災直後「姿を見せずリーダーシップを発揮しなかった」と批判の声が上がった加藤良三コミッショナーが実行委員会でこの“悲しい結論”を差し戻した。

会見に応じた加藤コミッショナーは「プロ野球が一体となって前に進む」「公式戦開幕の日程は継続審議」とした。

日本プロ野球選手会(新井貴浩会長)も開幕延期を申し入れた。プレーで国民を元気づけたい。誰もがそう考えるが、今回、日本国家が直面している問題は「野球どころではない」レベルである。
パ・リーグはこの震災を自分のものとしてとらえた。壊滅状態の町を多く抱える楽天、球場と周辺の町が液状化したロッテ、阪神大震災を経験しているオリックスなどは地震発生当時から「一枚岩」で対応を探ってきた。「野球どころではない」と考えるのは当然だろう。

セ・リーグは違う。巨人を中心に「予定通り開幕」を訴え、読売新聞ネットニュースなどは“加藤裁定”の下る前の段階で「セ・リーグ予定通り開幕」を流す始末だ。

なぜか?「勇気を伝えることも必要」と巨人幹部は言うが、新聞を売らんがための、自己保身だけのための“凶行”ともとれる。しかし、表向き批判する者はまずいない。スポーツ紙でもほぼ地元エリア独占市場の中日もしかりだ。(センバツ大会がいまだ、開幕に向け予定通り進行しているのも”毎日主催”という同じ理由からだ)

新聞各紙が毎月、千の単位で部数を落としてきたことなど、まず報道されない。プロ野球は「販促」のための一番のコンテンツ。それを失いたくない、ということだ。

「延ばした方がいい」(ヤクルト)、「延期を含む日程変更」(横浜)。14日までの早い段階で予定通りの開幕に否定的な球団もあった。

阪神は、違った。12球団ナンバーワンの動員力を保持したい考えからだろう。「できる試合を順次開催」する方法を提案した。だが、それだけではない。甲子園を楽天に使用してもらう私案も発表。12球団一丸、の考え方を前面に押し出した。

“広島”はどうか?

現在、中途半端に解体され、3月いっぱいの秋葉市長退陣でみじめな姿を晒す元の市民球場がまともな形で保持されていたなら、すぐにでも楽天に提供できた。

カープ球団の判断はどうか。まだ輪番停電の話もなかった13日の夕方時点(同日その後に計画停電の方針発表)では「ナイターもやらない方がいいという流れですが」という記者の質問に鈴木球団本部長は「電力を使用する、という意味では生産するところも同じ」と答えていた。

以下、13日、14日の報道陣と鈴木球団部長のやりとり。

13 日

・インターネットでも25日の開幕について賛否両論だが

様々な意見があるでしょう。これから仮設住宅などでの生活も始まる(のでテレビほかでプロ野球の元気な姿を国民に伝えるべき)。うちにはうちの意見、新聞社(各報道陣)には新聞社の意見がある。やる、ということがプロだから…。みなさんはどう思う?

・…。

やらないのは簡単。各球団、ダメージを受ける。だからタイミングが難しい。できるところはゲームをやって、支援すればいいのでは?今は各球団が直前でオープン戦の実施の是非などを決めている。あす、あさってのあと実行委員会がある。公式戦、ナイターの問題。先のことも考えた動きをしないといけない。スタートをいつにするか?

セ・パで分かれて、開幕をどうするか?仮に12球団で進むとしても支援のためのスタート、という思い。単なるビジネスじゃない。募金にしても一般に市民を巻き込んで、メディアの力でできるからね。

14日

・明日以降は?

停電などの話も出てきたのでできない試合はできない。できるところからやればいい。雨天中止と同じ考えでやる方法もある。セ・パで先ず、分かれて考える。セとしてどうか?

・阪神は甲子園を貸し出すと言っている。無キズのマツダスタジアムを抱えるカープは?

そういう話が来れば考える。うちの使用日以外がどうなっているか、だ。
・中日は残りのオープン戦の収益金を全部寄付すると言っている。カープは?

そこはまだ決まっていない。

・球団としての寄付は?
NPB全体のことになると思う。

・原発問題も深刻だが、広島は被爆地でもある。オリックスなど被災地の立場で考えを述べている。

そういう思いはみんな持っている。パとセじゃまた、違うだろうしね。

・開幕を延期する、という考えについて。

それはできない。ホテルとか、全部の問題になるから。各球団に経済ロスが出て支援どころでなくなる。今、球団として何をするのがいいのか、考えてやるのがいい。支援という目標がある。

★中日・西脇球団代表 延期する理由がない

★阪神・坂井オーナー 実行委員会、理事会の決定に従う。

・3月16日、開幕に黄信号

硬い表情だった。最後の方でグラウンドに向かうマエケンとすれ違った時、違和感をもった。大震災が気になるのだろう。そう理解していた。

マツダスタジアムには雪が舞い、冷たい風が吹いていた。ランニングなどが終わりキャッチボールが始まった。齊藤と並んだマエケンは相手からのボールを受けようとはしなかった。齊藤にキャッチしてもらい、それを渡してもらってから投げていた。なぜだろう?

キャッチボールのあと、もっと驚くことがあった。さっさとマエケンがベンチ裏へと下がっていったのだ。

マエケンはその後、県外マスコミのインタビューを受け、早々に球場をあとにした。本人の口からは何も語られていないが、異常事態であることは誰の目にも明らかだ。

本来なら19日のオリックス戦(京都)での登板で最終チェックをするはずだったが、それも流動的になってきた。

それにしても…。果たして、本当にこのままセ・リーグは開幕を迎えるつもりなのだろうか?

大震災による被害に加え福島原発放射能漏れの影響で横浜のスレッジ、ハーパーら外国人選手が日本脱出を始めた。

一方、巨人の渡辺恒雄会長は都内で「開幕を延期しろ、プロ野球をしばらくやめろなどの俗説がありましたが、大戦争のあと3か月で選手から試合をやりたいという声があがった」などと第二次大戦を引きあいに出し自説を語った。

ヤクルトの宮本はこうした経営者優先の発想を真っ向から批判。「思いあがり」との表現を使い選手会としての「開幕延期」の主張を強く全面に押し出した。

福島原発の放射能漏れ事故は人類史上最悪の状況を迎える可能性が高い。事故発生現場を中心とした同心円の、いったいどれくらいの距離まで離れることで安全が確保されるのか?

地上からの放水作業では放射能測定地が高い、との理由で仙台の自衛隊基地から空中消火のためのヘリが飛び立った。しかし、上空の放射能測定地も「放射能測定地が高すぎる」としてこの作戦は中止になった。

地上はだめ、空中なら…の理論に最初から無理がある。暴走する原発は放射能に汚染された物資をそこら中に“まき散らす”。

福島市の水道水から放射性物質のヨウ素とセシウムが検出された。予想通り、最悪の事態。しかし、ここまで政府も東電もこのことに触れてもこなかった。

テレビでは「健康に影響ない程度」とか「レントゲンと比べて」、「部屋に退避すれば安全」などと繰り返しているがすべてナンセンス。レントゲンは一瞬、生活は何十年、部屋に何十年もこもっていられるはずもない。

福島市の水道水の現実はやがて関東地方にも広がりを見せるだろう。すでに山県、長野、栃木、群馬、埼玉、千葉、神奈川、それに東京の放射線量が異常値を示している。

★練習後の野村監督 大変なことが起きている。難しい。コメントのしようがない。今は…。

★練習後の栗原 (被災地の状況などが)気になりますね。何とか力になりたい。(開幕すれば)しっかりやるだけです。

★由宇練習場でのウエスタン・リーグ、ソフトバンク戦に3番手で登板した福井は4回3安打2失点。3者連続を含む6奪三振でスライダーのキレが増してきた。一方、先発した今村は1回(2安打1失点)を投げただけで降板。開幕に向け不安材料が残された。

★石井琢のブログで15日に紹介されたカープ選手会による野球ウェアなどの被災地への寄付が選手の間でも話題になった。「古いアンダーウェア、それにストッキングも出しました」と齊藤。集められた衣類は段ボール数箱分になった。

・3月17日、破滅のシナリオ、セ・リーグ編

“25日開幕”へ、バリントンが6回を72球で片付けた。谷繁にソロを浴びたが、2安打ピッチングで内野ゴロの山を築いた。「投げるほどに力を見せるタイプ」という来日当初からの評判は本当だった。

米国で出産に立ち会い日本に“わざわざ戻ってきた”サファテはMAX152キロで八回、3連続見逃し三振を奪った。九回は豊田が3人でピシャリ…。

マエケンの開幕が危ぶまれ、先発のコマが足りなくなる懸念がある中、ジオとバリントンを併用すればシュルツは使えない。豊田の右腕が重要になってきた。

それにしても…。

やはり相当の違和感は禁じえなかった。震災後、巨人主催のオープン戦が一度、開催されただけ。これが2試合目で、ナゴヤドームに集まった観衆は1万1549人。しかし、いっさいの鳴り物なしで、通常のそれとはまったく違った空気がグラウンドを覆っていた。

当然だろう。こうして打球を追いかけているのと同時進行で、福島第一原発では文字通り決死の覚悟で放水作業が続けられた。

暴走する原発を止めるべく、最後の手段は被曝覚悟の地上放水。午後7時35分から午後8時過ぎまで行われたが、あまりに危険な作業のため、効果の有無を確認する間もなく途中で作業員は撤退となった。

燃料プールの温度が上昇し、いつ“中身”が外界に飛び出してもおかしくない状況が続いている。米国を始め海外メディア、海外政府の味方は概ね「チェルノブイリに匹敵」で一致。日本からの脱出が相次ぐ現状で“野球に興じる日本”はどう映っているのだろう?

確かにテレビなどを観ていると専門家と呼ばれる面々が「安全」「必要以上の心配はない」を繰り返している。しかし、それは自分たちがこれまで唱えてきた「原発は絶対に安全」の主張の延長に過ぎないと考える方が妥当だ。ここでその発言を覆せば、自身の立場、自分の稼ぎの元を否定することになる。

同じような立場にあるのがプロ野球、しかもセ・リーグの一部の経営者だ。開幕が流動的になれば売上げや経費、新聞販売と広告収入の面で大きな痛手を被る。それが嫌で午後5時までには「セ・リーグ予定通り25日開幕」を発表した。

前日、加藤コミッショナーが「一枚岩」を強調して再考をアピールしていたが、どうやらそれも単なるポーズに過ぎなかったようだ。

労働組合・日本プロ野球選手会の新井貴浩会長は甲子園球場で会見に臨み苦悶の表情を浮かべていた。

「原発の問題、ライフライン…。被害が日々、拡大する中、どうして3月25日に開幕するのか。早過ぎる…」

新井会長と太いパイプを持つカープの石原選手会長も試合後、ナゴヤドームでインタビューを受け「やれる状態ではない」と言い切った。

カープナインは18日、京都に移動するが、その後に予定されていた練習がオフになった。その時間で選手同士の話し合いを持つ考えもあるという。

なお、歴代コミッショナーは巨人の息のかかった人物がその座に座っている。

・3月18日、破滅のシナリオ、セ・リーグ編2

テレビニュースが伝えていた。鹿島アントラーズ、小笠原満男、31歳。ガレキと化した町で被災地の人らに声をかけて回っていた。

岩手県大船渡市、県立大船渡高出身。「何もかもなくなっている」その姿に大きなショックを受けながらも、色紙にペンを走らせ、避難住民を勇気づけていた。

「お世話になった人もいる。住んでいた町だから…」

車を運転して、鹿島からひとりで陸前高田市まで来たという。Jリーグは3月の全公式戦をストップしている。

同じころナゴヤドームでは楽天が中日相手にオープン戦を戦っていた。また中日、そして巨人…。

そのセ・リーグには所管の文部科学省から「東京、東北電力管内では取材をできる限りやるな」「ナイターはやるな」。非常識な人たちに、とうとう“天の声”が発せられた。

が、ナゴヤドームで会見に応じた楽天・星野監督は怒っていた。

「それは会議の前に言わんとイカンだろ。すべて後手、後手。あとから役人、政治家が言うのはおかしいわ」

そして日本プロ野球選手会、新井貴浩選手会長は、大阪市内であった会見で声を強めた。

「開幕戦延期を要請しました。最善の行動をとっていただきたい、とっていただけると信じています」

朝から12球団選手に意見を聞いて回った新井会長は「強い意見があった」とコメント。これは、国民の命、財産、安全な生活の復興のためにはストライキも辞さないことを指している。

新井会長は選手会としての声明文も用意していた。巨人、渡辺会長と対極に立つ新井会長の存在が被災地のアントラーズ小笠原と重なった。「レベル5」と判定され、すでに海外からはこの地球上で最悪との断を下された原発事故のエリアに、ひとり向かった小笠原の姿と…。

声明文

昨日、NPBがセ・リーグの3月25日開幕を決定したことにつきまして、本日、12球団選手会の意見集約を行いました。

その結果として、選手の総意として改めて、3月25日のセ・リーグ開幕を延期すべきであることを要望致します。

理由は、今回の未曽有の災害が未だ被害状況全容の把握段階にあることだけでなく、福島県の原子力発電所の災害が進行中であること、特に東日本で国民的な節電運動が行われている電力事情であるこの時期に、一部の球場では5000世帯にあたる電力を消費するというナイター試合を開幕することに大きな疑問を感じるからです。

選手会の要望としては、第一には開幕の延期ですが、上記の理由にかんがみ、仮に開幕を強行する場合についても、最低限ナイター実施については再考し、電力事情や安全面も配慮するデーゲームでの開催方法を検討すべきであると考えています。

なお、万一、要望が理解されない場合について、選手たちの間では、開幕する試合に協力すべきではないという意見が多数聞かれました。そのような意味で、上記の要望がまったく聞き入れられないという場合には、開幕するかどうかについて、選手会として意思決定するための議論を進めなければならないことにもなりかねません。

選手会としては、本来であればNPBとともに一致団結し、いまプロ野球が何をすべきかを共有して、社会に貢献しなければならないこの時期に、要らぬ対立をしたいとはまったく思っておりません。

選手会も、一日も早く、被災者や社会を勇気づけるために試合をしたいという気持ちは同じです。そのような意味で、NPBにおいても、上記のような点を再考していただけると信じたいと思っております。

開幕発表後は、選手だけでなく、ファンや各省庁から懸念の声も寄せられています。NPBにはこの状況を踏まえた英断をぜひ期待したいと思います。

★大柿和則セ・リーグ統括はセ・リーグ声明文発表後…

6球団で連絡を取り合いながら協議をしている。しかし6球団で集まることは未定。文部科学省とは会っていない。これから会うのも未定。通達後、連絡もとっていない。各球団が接触しているのかはわからない。


★井原敦NPB事務局次長

明日、12球団で会う予定は無い。両リーグ内でまず合ってから話す。今日の段階では日程変更の協議に入る手前。ナイターはできないと受け止めている。監督官庁から指導には真摯に検討すると答えた。昨日の3点の条件、これが要請事項に触れたと踏まえている。午前中に文部科学省から昨日の決定について話をしたいと言われて、そのあと省内で検討しますと言われた。返事は17時過ぎであった。この3連休の間に12球団会うことは難しい。セ・パ、それぞれ6球団会うことも難しい。


★下田邦夫NPB事務局長

日程の見直しを検討。昨日の3点の条件のうち、安全と電力問題?は該当するのではないか。今回の通達は非常に曖昧、どういう意味だよと。企業活動を停止しろ!ということ。スタッフを含め12球団の死活問題でもある。開催は東北電力、東京電力の地域外だといいと解釈している。蓮舫大臣とは連休明けに会う約束はしていない。選手会の表明は12球団に配った。要望書が来たというだけのこと。NPBというよりセ・パの問題。

・3月19日、破滅のシナリオ、セ・リーグ編3

「気持ちの強さ」なら誰にも負けない。八回のオリックス打線を3連続見逃し三振に抑えた。ルーキー開幕一軍当確!岩見の左腕が間違いなく今季の大きな戦力になることが証明された。

しかし、同じルーキー左腕の中村恭は対外試合7戦目で初めて失点した。その内容が悪過ぎた。いきなり3連続四球で満塁。失点のあとも2連続四球で押し出しを許した。

それにしても打てない。オープン戦防御率1点台のオリ投手陣が相手とはいえ、先発寺原以下4投手に5安打完封を許した。わかさスタジアム京都には大勢のカープファンが訪れ、赤いスタンドを演出していたが、その声援に応えることはできなかった。

17日の中日とのオープン戦は9安打で3点。その前にマツダスタジアムであったホークスとの実戦形式練習では9イニングで0点、7点、4点。しかし相手のミスに乗じた得点も多く、まともに打線が繋がったシーンで必ず絡んでいた岩本が、理由を明らかにされることなく広島に戻る、という非常事態も発覚した。

夜になると、まったく次元の異なる異常事態も明らかになった。広島からも鈴木球団本部長が参加し、都内で話し合いが続けられていたセ・リーグ緊急理事会で「29日開幕」が決定されたのだ。

話し合いのあった場所は巨人の球団事務所。言わずもがな、である。

この日、福島の原乳や茨城のホウレンソウから基準値を超す放射性物質が検出された。オーストラリアの緊急援助隊は日本脱出を決定した。日本の原子力委員会が福島第一原発半径20キロ圏内から避難する住民に被曝による健康被害を抑えるヨウ素剤服用を勧告した、という話もある。

福島第一では将来にわたって健康への影響が懸念される多量の被曝を受けながら、あらゆる組織が原発の暴走に歯止めをかけようと懸命に戦っている。その結末が訪れるのは果たして10日後か2週間先か、1カ月…、3カ月…。

長いスパンで国民の健康と命が左右される次期に「25日開幕」を「29日開幕」に変更。遠征地の札幌の夜、急きょ会見した新井選手会長も「予想していなかった。これから対応を協議します」と話すのがやっと、の状況だった。

セ・リーグの声明

ファンのみなさんへ

3月11日に発生した東北・関東大震災に関し、セントラル・リーグ6球団は、観客、選手の安全確保を最優先しながら、開幕に向けて準備を進めて参りました。

今季はすべて復興を後押しする支援試合とすることを既に決めていますが、この度、文部科学省の節電協力要請を受け、今季の試合開催を次のように変更し、協力していくことで一致しました。

選手の真剣なプレーをお見せしながら復興を全力で支援したいという気持ちには変わりはありません。

例年と大きく異なるプロ野球になるでしょう。しかし、節電に配慮した試合開催にどうか、ご理解をいただきますようお願いいたします。

1、セントラル・リーグの開幕は延期して、3月29日開催といたします。

2、開幕後、4月3日までは東京・東北電力管内のナイトゲームを取りやめ、デーゲームといたします。

3、4月5日から東京・東北電力管内のナイトゲームは「減灯ナイター」とし、大規模節電策を講じます。その他の球場においても節電対策を推進いたします。

4、節電策の一つとして、今季のレギュラーシーズンについては延長戦は行わず、9回で打ち切りといたします。

5、東京・東北電力管内では、夏場の試合開催にあたって、可能な限り、デーゲームとすることを検討いたします。

6、被災地対策、観客の皆様、選手、球場の安全確保や節電問題などに対処するため、震災対策会議を設置し、選手たちと連携してこの難局を乗り越えて参ります。

セントラル野球連盟

・3月20日、破滅のシナリオ、セ・リーグ編4

本来なら開幕まで、あと4日。京セラドームでその大事なオープン戦の先発マウンドに上がったのは齊藤だった。

三回まではノーヒットピッチング。毎回の4奪三振。しかし、四回、打順2回り目でオリックス打線につかまった。四球絡みで1点を失うと、さらに、暴投、連続四球で押し出し。五回にも内野安打2本を含む3安打で2点を失った。

防御率5・36。先発ローテーションの中で重要な役割を果たすことが期待される齊藤のオープン戦は、微妙な結果を残して終了した。

沖縄キャンプまで、ずっと齊藤のフィジカル面を見てきた鈴川卓也氏(前カープアスレチックトレーナー)は言う。

「齊藤は明らかに人より優れた能力を持っています。昨年、秋のキャンプで三塁から一塁への送球を計測したことがあるのですが、球速は150キロを越え素晴らしい送球を見せた。ステップを踏みながら投げる訳ですが、からだをうまく使って特別な球を投げることができる。ただ、その力をマウンド上で発揮できない。そこをどうするか。キャンプでじっくりとそのあたりの課題に取り組んできた。投球フォームは明らかに変わってきましたよね」

5回を投げ強力打線を相手に内野ゴロ8つ。今シーズンの齊藤が飛躍するための条件はすでにクリアされつつある。あとは、長らく課題とされてきた制球力をいかに安定させるかにかかっている。

一方、札幌ドームであった日本ハム対阪神オープン戦。2万6672人の観客が、打席に向かう阪神新井にいっせいに拍手を送る場面があった。

「選手会がやっていること、選手全員の気持ちをファンの方にちゃんと理解してもらえているんだな、とジーンときました」

2004年球界再編問題で戦う選手会長と言われた当時の古田敦也に続いて、球界の運命を背負うことを宿命づけられた新井選手会長。22日には都内に入り、節電啓発担当大臣の蓮舫氏とNPBの話し合いに参加することも決まった。

選手会前会長のヤクルト宮本も「4日…?という部分はある。周りの人に迷惑をかけることに配慮がない」と巨人を中心とする経営者側の姿勢を真っ向批判。さらに楽天・星野監督も「6、7時間やってあんな茶番…」とセ・リーグの決定を厳しく批判し、選手会を後押しする。

「有事なのに平時で物事を考えているからいけない」

星野監督のこのひと言が全てを物語っている。まさに有事。放射能をまき散らす福島第一原発のガレキの山を除去するために、74式戦車の出動も準備されている。

・3月24日、空に向かて打て!球界激震編

いい顔になった。そして、言った。

「僕たちプロ野球選手が真剣に野球をする姿で被災地の方たちを少しでも勇気づけられるように、頑張っていきたいと思う。義援金、義援物資はもちろんですけど、開幕が12日になりましたので、チャリティ試合など、みんなで協力してやっていきたいと思います」

近代日本が直面する最大の危機に立ち向かった。日本プロ野球選手会、新井貴会長の、すべてをかけた戦いが、ひとまず大きな節目を迎えた。4月12日、セ・パ同時開幕。本来のあるべき姿に、プロ野球ファンと選手会で引き戻した。

巨大地震と巨大津波。放射能をまき散らす福島原発を止める術は見つからず、連絡手段もないことからいまだ、どれだけの人がケガをし、死亡したかも定かでない。しかし2万人、3万人の規模で尊い命が奪われ、24万人が避難所などに暮らし明日の食糧にもこと欠き、電力供給量ダウンで関東エリアの日常生活さえままならない時にプロ野球?

Jリーグも、パ・リーグも、スポーツ界全体がこの「有事」(楽天・星野監督)を乗り切るための諸策をこうじている時にセ・リーグだけ、3月29日に開幕?

3月11日、東北関東大震災。「野球をやっていいのか」(3月13日、日本ハム・ダルビッシュ)と選手の誰もが思っていた。

しかし15日には開幕延期を決定したパ・リーグとは対照的にセ・リーグは「3月25日開幕」を決めた。

その後、文部科学省の強い要請もあってセ・リーグは「裏ワザ」へと奔走。19日、「9回打ち切りの減灯ナイター」なる“珍用語”を前面に掲げ、わずか4日間だけ先延ばしの「3月29日開幕」を宣言した。

セ・リーグの決断が巨人の意向と重なるものであることは、もうファンも国民もみんな分かっていた。読売グループ対ファン&選手会。2004年、7月7日。「もうひとつの合併」発言でイッキに加熱していった「球界再編の嵐」と同じ構図だった。

選手会の中心にいた新井の主張は一貫していた。

15日、セ・パ両リーグの実行委員会の流れを受け、年金委員会に出席した際に「選手会の総意としての同時延期」を訴えた。

19日、“姑息な”手段に出たセ・リーグ経営者と、リーダーシップを欠くNPBに対して「予想していなかった結果」と戸惑いを見せながらも、ストやボイコット論議に発展する道を回避。選手が痛みを感じる度合を最小限に抑えながら、大きな壁に立ち向かう道を選んだ。

世論が新井の姿を後押しした。選手会の主張と、「東京ドーム開催」「ナイター開催」「パ・リーグとは別の道」にこだわる巨人とのどちらが“正義”なのか。マスコミの論調やネット上の声を見れば、それはもう明らかで、読売新聞、日本テレビがいくら目先を変えようとしてももうなびく者は少数に止まった。

「空に向かって打て!」

カープのユニホームに袖を通し、ベース手前3メートルでワンバウンドする球を空振りする選手からホームランキングに上り詰めた新井の原動力は強い意思と優しさだった。

今回の“大騒動”ではNPB、経営者側と力による戦いを挑むのではなく、“優しさ”“思いやり”の心で、厳しい板挟みの立場を何とか乗り越えようとした。

前日には「野球が仕事、SMAPでもやっている」(加藤コミッショナー)、「開幕はお上が決めることではないでしょ。政府が決めることですか」(巨人・滝鼻オーナー)の言葉に胸を痛め、悲しい表情を見せていた。

しかし、1日で立場は逆転した。「交流戦中止」までチラつかせパ・リーグに揺さぶりをかけた巨人は、阪神を中心とするセ・リーグ他球団の説得に“屈伏”した。マツダスタジアムでのカープとの実戦形式練習が終わる寸前に「セ・パ同時開幕」の知らせが入ってきた。

「背中にファンの声を受けて、いろいろ感じるものがあったここ数日間、どうだったですか」

広島駅に隣接するホテル一室での共同会見。質問された新井はしばらく沈黙してからこう言った。

「いろいろありましたけど、これからは12球団の選手とセ・パ両リーグの方、また野球に携わるすべての方たちと協力して前へ進んでいきたいと思います」

少し涙が滲み、少し上を向いていた。

2007年11月7日。新幹線で広島に戻った新井はこの会見のあったホテルのすぐそばで報道陣にもみくちゃにされた。翌8日、「辛いです」を繰り返しながらのFA移籍会見に臨んだ。大バッシングの中、広島の街をあとにした。

「痺れる環境で野球がしたい」

新井が残した言葉にカープファンは激怒し非難した。

だが、実際に新井は「痺れる環境」の真っただ中にある。昨年は1勝の差でリーグ優勝を逃した。一方、「優勝を目指す補強をして欲しい」と新井から直訴されたカープは…。

ゼニ金の話、というなら今回の新井のとった行動は何と説明すればいいのか。長らく日本球界をコントロールしてきた巨人と読売に楯突くことでどんなメリットがあるというのか?

仮にセ・パ分離開幕を迎えたなら、「巨人いまだ健在」のお墨付きをNPBに与える“非常事態”となっていた。2004年の時には「たかが選手が…」のナベツネ発言に世論が一斉に反発。そのおかげでホークスとの合併が水面下で進んでいたカープも命拾いした。

今回も「お上が決めることか」の滝鼻発言が不評を買い、選手会をあと押しする風が吹いた。だが、新井が先頭に立って走ってきていなければ、プロ野球の一枚岩はなし遂げられなかった。

「できるところから開催する方が現実的だ」カープ球団の主張を紹介する記事が前日の中国新聞に大きく掲載されていた。経営優先か選手とファンの心の問題か。

相反するふたつの重たい現実を天秤にかけた「球界激震の第2幕」は、新井選手会長の存在感の分だけ勝ったファンの思いで決着を見た。

新井選手会長のコメント

まずは、大変な時にプロ野球の開幕問題のことでお騒がせしまして、ファンの方にはこの場を借りてお詫び申し上げたいと思います。

・セ・パ同時開催となりました。

そういう発表を受けまして、大変大きな決断をしていただき、また、選手会の意思というものをご理解していただき感謝しています。

・選手会一丸の取り組みの成果では。

そうですね。12球団の選手が団結して意思表示を続けたことが大きかったのではないかと思います。

・日程の変更もやむなしです。

両リーグの方には、12球団の選手が144試合、クライマックス・シリーズ、日本シリーズを必ずやり遂げます、協力しますとお伝えしています。(野球協約で参稼期間外にあたる)12月になってもやります。

・開幕も決まりました。プロ野球が被災者の方に何を伝えますか。

僕たちプロ野球選手が真剣に野球をする姿で被災地の方たちを少しでも勇気づけられるように、頑張っていきたいと思う。義援金、義損物資はもちろんですけど、開幕が12日になりましたので、チャリティ試合など、みんなで協力してやっていきたいと思います。

・ご自身、大変だったのでは?

…。被災地の方たちのことを思うと、僕のことなんか何ともないことだと思います。はい。

・背中にファンの声を受けて、いろいろ感じるものがあったここ数日間、どうだったですか。

いろいろありましたけど、これからは12球団の選手とセ・パ両リーグの方、また野球に携わるすべての方たちと協力して前へ進んでいきたいと思います。

・最後にメッセージをお願いします。

僕たちプロ野球選手がやらなければいけないことは、真剣に野球することだと思っています。僕たちが真剣に野球をすることで、被災地の方たちに勇気をもってもらえるよう、笑顔を取り戻していけるようがんばっていきたいと思います。

 

 



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「第4回コイのサミット」開催のお知らせ

2014年3月22日(土)に「第5回コイのサミット広島」を開催いたします。

「早く日取りを決めて欲しい!」という熱い声にお応えして、日時と場所だけ確定いたします。パネリストの方の人選など不確定な部分もございますがご了承ください。
みなさん最大の楽しみ!二次会の予約も済ませました。場所はもちろんHarayaさんです。今回もまたファン同士の結束を高め(要するに飲み会…)、1991年以来のリーグ優勝を目指すべく熱いシーズン開幕を迎えましょう!

なお初めての方も大歓迎です。私、田辺一球が楽しく!?お相手いたします。もちろんお一人様も大歓迎いたします。

翌3月23日(日)にはマツダスタジアムで午後2時からソフトバンクとのオープン戦が開催されます。しかも3連休の真っ只中です。楽しい「広島ツアー」にしていただければ幸いです。(宿泊施設のご用意はいたしませんので各自でお願いいたします)

★日時)2014年3月22日(土)午後2時「本会議」スタート予定(午後1時30分受付開始予定)※開始時間は、若干変更になる可能性もあります。詳細は、お申込みいただいた方にメールなどで通知いたします。

★会場) ウエストプラザビル2階ホール(広島市中区紙屋町2-2-2、TEL 082-504-3131)

★アクセス) 広島ど真ん中、紙屋町交差点からすぐ。高速バスなら広島バスセンター下車、広島電鉄なら紙屋町電停下車で徒歩数分、JR広島駅からタクシー15分以内。山陽自動車道広島ICより約6キロ。駐車場は用意されておりませんので近隣でお探しください。

★会費) おひとり様3,500円(税込、ドリンク&食事付き)中学生以下は無料。会費は当日、サミット開催前に受付で集めさせていただきます。おつりのないよう、ご用意ください。

★募集定員) 40名ぐらい…

★パネリスト)田辺一球(広島魂!代表)以外は未定

★サミット参加のお募集申込み方法
「本会議」とそのあとの「二次会」の2部構成です。「一球調査団」は、今回は実施しない方向です。「本会議」会場から「二次会」会場まではたぶん、徒歩でも行くことができます。路面電車利用の場合は実費のご負担となります。

参加希望の方は、メールで以下の項目を明記の上、お申し込みください。なお、会費を当日いただくこともあり、キャンセルは極力避けていただきますようお願いいたします。

・お名前 
・住所(郵便番号)
・年齢
・2人以上でご参加の場合は残る参加者全員のお名前と年齢
・あなた様、もしくは代表者連絡先電話番号(メールがお返しできない場合がございます。その際にお電話します)
・「二次会」参加の有無(お申込みのあと二次会のキャンセルは極力、避けていただきたいと思います)
・サミット参加回数(今回含む)
・その他、ご要望、ご質問など

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覚醒スイング

2013年04月07日更新

お立ち台に上がったふたりのヒーローが、冷たい風の吹きつけたデーゲームのスタンドを熱くした。

「常にみんな声が出ていて、点が入りやすいムードができていたと思うし、みなさんの応援もすごく僕らにとって大きな存在なので、本当にありがとうございました」

4打数で2得点3安打1打点と1四球の活躍を見せた丸がファンにメッセージを送ったあと、マイクを向けられたマエケンが言った。

「チームの状況は苦しいですけど、ファンの皆さんはちょっと暗いです。明るく笑って球場に来てください!」

開幕第2戦で8回1失点の投球を見せながら“不発”に終わったマエケンは、東京ドームでも投げていた130キロ台中盤の高速スライダーを組み立ての中心に据えた。WBCを経験したことで「帰国してから腕が振れるし意外にスピードが出ている」真っ直ぐに変化を感じ取り、スライダーも同じ勢いで振り抜くことができた。

「一番の西岡さんはもちろん、どの打順も怖い」という阪神打線を相手に終わってみれば7回2安打1四球の無失点とほぼ完璧に抑え込んだ。真っ直ぐと高速スライダー、それにチェンジアップを低目に集め、外野に飛ばされたのは西岡の中前田、福留の左飛、コンラッドの中飛の3度だけだった。

6対1快勝の原動力がマエケンの投球内容にあったのは間違いない。だが、打線の援護がなければエースと言えども勝ちようがない。

「二番の丸がいっぱい出ていっぱい帰ってきてくれました!」。ヒーローインタビューの初っ端にマエケンはそう叫んだ。試合の流れを作ったのは8試合消化時点で早くも3度目の猛打賞獲得し、一、二回と立て続けにナイス走塁でホームに還ってきた丸だった。

打つだけではない。走っても守っても球界トップレベルの水準を目指す。丸の“イチロー化計画”は新井打撃コーチの就任と同時にスタートした。

「バッティングは力じゃない、スイングスピードとレベルスイング、そしてボールを見送る姿勢の中にいかに打ちにいく形を作るか、だ」。新井理論をナインに浸透させる作業は前年秋の日南キャンプでその第一歩を踏み出した。

新井コーチが真っ先にやったこと。それはひとりひとりのバットの形状、グリップの形、バランス、重さのチェックだった。

丸のバットはそれまで使用していたものより30グラム前後軽量化され、“スイングスピードの高速化”を可能にした。同時にこれまでダウンスイングをイメージして、構えた時に両肩のラインより高い位置に固定していたグリップを、同ラインのかなり下まで降ろした。

「打撃改造」には勇気がいる。だが丸には迷っている時間はなかった。2011年に初めて規定打席に到達して105安打を放ったのに2012年は70安打を放つのが精一杯だった。目の前に大きな壁があることは分かっていた。2000本安打の新井理論を吸収することで覚醒する自分に賭けた。

2月、再び日南に入るやいなや反復練習が始まった。「レベルスイング」への移行は簡単ではなかった。「まだまだ、自分のものにするには相当かかると思います」。キャンプ序盤は試行錯誤の連続だった。

それでもシート打撃や紅白戦が始まると、丸のバットから快音が響くようになった。グリップの位置が下がったことでスイングが以前と比べてずいぶんシンプルになった。肩の余分な力も抜けたように見えた。

オープン戦の時期になっても極端にバッティングの状態が悪くなるようなことはなくなった。「外の球をとらえることができている。精度をもっと高めたい。手ごたえは感じています」。テーマのひとつだった「確実性」が増してきた。

試合前、新井打撃コーチが上げるトスを打つ、というルーティンはマツダスタジアムでも遠征中でも3月いっぱい続けられた。最初は外角の球を強くショート頭上へ強く打ち返せるように丸から見て左45度の角度から、続いて新井コーチが丸の正面に入り、ネットの影から上げるトスをフルスイングした。

新井コーチには、かつてイチローの打撃スタイルの基本を、このトスバッティングで固めた実績と経験、もっと言えば信念がある。同じ道を歩むことで丸のバットの軌道はそれまでとはまったく違ったものになり始めた。地面と平行にバットのヘッドを移動させ、最後の大きなフォロースルーと同時に風を斬る音が聞えてきた。

オープン戦の時期にはもうひとつのテーマにも挑戦した。オープンスタンスから右足を上げて踏み込もうとすると、相手投手が「クイック」で崩しにかかってくるようになったからだ。

自分のタイミングで打とうとすれば上げた足を降ろした時には完全に差し込まれてしまう。そこで上げた右足を途中で早めに一度、地面と接触させ軽くステップして本来の踏み出し位置に右足を着地させる「二段ステップ」に打撃フォームをアレンジした。

守ること、走ることにおいてもキャンプからワンランク、ツーランク上を目指して丸はやってきた。打つだけではレギュラーにはなれない。同時並行であらゆる課題に取り組みながら丸は2013年シーズンを迎えることになった。

日南キャンプ終盤、丸や安部の屋内打撃練習を見守りながら新井コーチが話し始めた。

「よく少年野球の本などに体重を残して振りにいき、そこからもう一度体重移動などと書いてあるがそれは間違い。それではスウェーしてしまう。ステップして着地した時にピッチャーに向かっていく形ができていれば体重移動していてもOK、言い換えれば下半身は打ちにいく、しかし上半身は残すんです。そしてみんな試合で10の力で振ろうとするけど練習10なら試合は8ぐらいでいいんですよ」

新井理論の引き出しはおそらく無数にあるはずだ。打球音とマシンの油切れの音が一定のリズムで繰り返される現場で話はなおも続けられた。

「ヘッドがうまく使えないとバットが折れたりもするんですよ。そのためにはまずバットの握りから変えなくてはいけない選手もたくさんいる。そうやってヒットを重ねていく。うまくいけば280には届く。その先、いかにして300をクリアするのか?そこにはラッキーなヒットや内野安打も当然、必要になってくるんです」

話の最後に新井コーチ自らが口にした「打率3割」の目標に到達できる愛弟子は果たして…?かつて神戸の空の下、「前人未踏のシーズン200安打」を可能にした新井理論とイチローの振り子打法が紡いだ物語。その続編がこの広島でまさに今、始まろうとしている。

カープと広島を愛する人たちに贈る携帯サイトの決定版。テレビやラジオより速く、新聞より詳しく、雑誌より感動できるカープナインの365話物語。田辺一球責任編集。すでに7年以上、一日も休むことなく続くカープコラム「赤の魂」やカープ情報や新球場問題などを速報する「ニュース速報」他サイトと比較して一目瞭然の「試合速報」現場で集めた「ファーム情報」携帯サイト読者とメールのやりとりする中から新たなコミュニティーを創造する「コイの季節をあなたにも...」。5つのコンテンツで税込み178円です。なお、携帯サイトと当HPをリンクさせ、全国から集まったみなさんの声をカープと新球場の未来のために同携帯サイト上や当HP上、あるいはスポーツコミュニケーションズ・ウエストが発行する書籍内において掲載させていただくことがありますのであらかじめご了解ください。

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デイリースポーツ

二宮清純

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